消費税が今日から10%に上がりました。
本日より消費税が10%へと上がりました。
軽減税率のお話ではありません。
今回は会社における人材の調達方法の違いによる消費税の影響を検討していきます。
人手不足の昨今、会社が人手を集める方法として通常以下の2つ方法が考えられます。
①直接雇用する方法(正社員、アルバイト)
②派遣会社から社員を派遣してもらう方法(派遣社員)
①と②について会社が負担する本当の費用って、いったいどれくらいなのでしょうか?
(年齢36歳 男性を想定する)
正社員(例) 給与月額25万円 賞与年額60万円 年間総支給額360万円
派遣社員(例) 派遣会社への支払額 月額30万円 年間総支払額360万円
①正社員(直接雇用)の場合
会社の実負担額 給与額面 360万円
社会保険料 58万円(おおよそ) 合計 418万円
(健保・厚生年金・雇用保険の会社負担分)
②派遣会社から社員を派遣してもらう場合
会社の実負担額 派遣会社への支払額 360万円 合計 360万円
以上のように考えますと会社の実負担額というのは
正社員の場合は、年間給与総支給額+社会保険料の会社負担額
派遣会社の場合は、派遣会社への年間総支払額で考えることになります。
が、これだけで本当にいいのでしょうか?
これだけではだめです。
消費税への影響を考慮する必要があります。
給与は非課税仕入れとなり、課税売上から差し引くことはできません。
派遣会社への支払額(外注費)は、課税仕入れとなり課税売上から差し引くこと
ができます。
(*1)会社により異なります。
ではその効果はいくばくなのでしょうか?
派遣会社への支払い消費税額を全額控除(*1)できると仮定した場合
派遣会社への支払額の節税効果は 360万円×10%=36.0万円
正社員を直接雇用するよりも36.0万円の消費税の節税効果があります。
これを織り込んで会社の実負担額を計算しますと
①正社員(直接雇用)の場合
会社の実負担額 給与額面 360万円
社会保険料 58万円(おおよそ) 合計 418万円
(健保・厚生年金・雇用保険の会社負担分)
②派遣会社から社員を派遣してもらう場合
会社の実負担額 派遣会社への支払額 360.0 万円
派遣社員を使用することによる消費税節税効果 -36.0万円
合計 324.0万円
会社が直接雇用すべきか、派遣を使うべきかを考える場合には
派遣を使う場合の消費税の節税効果も織り込んで考える必要があります。
ここで皆様もお気づきになっていると思いますが、10%で上記の節税効果です。
消費税率が10%⇒12%⇒15%と上がれば上がるほど、派遣社員利用によ
る消費税の節税節税効果がより大きくなります。
反対から見れば消費税の節税効果の分、正社員雇用は不利となります。
法人税の計算上は、給与も外注費(派遣会社への支払)も同様に損金となります。
が、消費税の計算上は、給与は消費税を計算する際に差し引けないのに対して外
注費は差し引ける。という取り扱いになります。
正社員も派遣社員も、人に働いてもらうことに対する対価という意味において同義
でありますがその取り扱いが、消費税において異なることになります。
ただ上記は金額を集計・比較したのみであり、正社員を使っても派遣社員を使って
も、結果としての成果が同じであることを前提に比較しております。
が、現実の仕事の現場感覚からすれば同じになることは少なく、必要とされる仕事
の内容により又必要のされかた(スポット等)により正社員が望ましいか派遣社員
が望ましいかは異なることになると思います。
やはり会社や現場のニーズをくみ取り対応するのが肝要かと思います。
今回は正社員、派遣社員のコストについてその影響要因の一部(消費税等)につい
て比較して検討してみました。正社員であれば、退職金の積み立ての必要もあろうか
と思いますし、また正社員よりも派遣社員の派遣単価のほうが高いはずというご批判
もあろうかと存じます。が、ここではその点には目をつぶっていただいてご覧いただ
けましたら幸いです。